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武士道エイティーン 誉田哲也

主人公の高校生活を描いた作品なので、初めから3部作を予定していたのだろうか。それとも、最初の1冊がでた後、続編を望む声が多かったので第2部以降が書かれたのだろうか。どちらもありうる気がするが、読者としては1冊だけで終わらなかったのが有り難い。第3部にあたる本書では、これまでに登場した脇役の視点から描いたエピソードが4つ、話の流れのなかで独立した短編のように織り込まれていて、作品全体をまとまりのあるものにしてくれているし、話が他の人の視点で描かれることによって立体的に見えてくるものがある。特に主人公の後輩のエピソードは、第2部までのところで謎のままで終わってしまっていて中途半端な感じがしたので、すっきりさせてくれた。さらなる続編が期待されるが、もし続編が書かれるとしたら、その内容もさることながら、今度はどのような視点で描かれるのかも気になるところだ。少なくとも主人公2人のライバルの反撃、そのライバルの視点から描いたエピソードは、この物語を完結させるためには必須だと思われる。それにしても、本書のしおりの糸が赤と白の2本ついているというのはしゃれっ気があって面白い。(「武士道エイティーン」 誉田哲也、文藝春秋社)

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