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マスカレード・ホテル 東野圭吾

著者のデビュー25周年記念作品の3冊目。これまでの2冊「麒麟の翼」「真夏の方程式」は両方とも人気シリーズの最新刊で、ファンとしてはそれだけで満足という感じだった。しかも両方とも、シリーズ最高傑作とは言えないまでも、シリーズの雰囲気を存分に楽しめる傑作だった。それに対して本書は、私の知るキャラクターが出てこない多分シリーズものではない作品だ。読み始めて3分の1くらいのところで、これはすごい作品だと思い始めた。とにかく読んでいて面白い。サスペンスの要素、キャラクターの魅力、破綻のない筋立て、ラストの意外な展開など、ミステリーとして面白いと思う要素全てが揃っている感じだ。さらに、読み終わってから気づかされる事件の真相に関係するエピソードの語られ方の見事さなど、その構成の緻密さには本当に驚かされる。本書に挟み込まれていた著者の作品リストをみると、本書は著者の76冊目の作品。数えてみるとこれまでに読んだのはまだ30冊に満たないが、そのなかでも、本書は「容疑者Xの献身」に匹敵する大傑作だと思う。(「マスカレード・ホテル」 東野圭吾、集英社)

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