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密室に向かって撃て 東山篤哉

著者の本はこれで5冊目。解説に「著者の本は2冊3冊と読んでいくうちにだんだんクセになっていく」とあるが、その通りかもしれない。そこそこのミステリー、徹底的なユーモア路線という著者の特徴が判ってくると、安心して気軽に読めるし、読むのがだんだん心地よくなってくる。ひたすら笑いながらストーリーを追いかけて謎解きを楽しめる。しかも、東日本大震災後、作り話の暗い話を延々と読むのが何だかつらく感じることがある。著者の本はそうした心配がないことも読みたくなる理由の1つかもしれない。ミステリーはそこそこと書いたが、これまで読んだ長編3冊、短編集2冊はそれぞれに面白い趣向が凝らされていて、著者のバラエティの豊富さを感じる。著者の得意分野は、読んだ5冊のうち長編2冊で扱われている「衆人環視下の密室」というシチュエーションだと思われるが、その2冊もかなり趣が違っていて、似たような話という感じがしない。あと何冊著者の既刊があるか判らないが、飽きるまでは楽しめるような気がする。(「密室に向かって撃て」 東山篤哉、光文社文庫)

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