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暖簾 山崎豊子

著者の処女作。親子2代の大阪商人の暖簾に賭ける気骨と矜持の物語。小気味の良い文体で、最近よく見かける伏線とか場面の切り替えといった仕掛けのようなものもほとんどない時系列を忠実に追っていく展開には、これが本来の小説の姿、本当の小説のあり方ではなkだろうかと、懐かしいような感慨を覚える。時には少しユーモラスに覚えるほどの無骨さでひたすら商売に明け暮れる主人公の日々を追い、大波あり小波ありで、最期にえもいわれぬ達成感・爽快感が待っている。著者の大河小説・幾多の長編小説の凝縮版をみる思いだ。(「暖簾」 山崎豊子、新潮文庫)

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