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東南アジア四次元日記 宮田珠己
著者はエンタメ・ノンフの世界では第一人者ともいえる有名人だが、著書を読むのは初めて。薄い文庫本だが、50枚のカラー写真と28枚の白黒写真が掲載されており、とにかくそれをパラパラと見るだけで、めちゃくちゃに面白い。ちなみに私の家族にその口絵だけを見せたが、笑い転げていた。写真だけで面白い上に、写真にまつわる旅の冒険談が笑えるし、写真と関係のないところの文章も同じくらい笑える。本書の舞台はベトナム、ミャンマーの2か国が中心で、私の場合、仕事でベトナムやミャンマーに出張するようになり、少しは見聞したはずなのだが、私が持っている旅行ガイドブックには本書で取り上げられているような観光スポットのことは全く書かれていない。本書を読むと、著者が本書で取り上げたようなものがそこかしこにあるような錯覚に陥るが、本当のところはどうなのだろう? 特殊な場所に行かなければ見られないものなのか、それとも私自身近くを通りながら見えていないだけなのか、何だかとても不思議である。ミャンマーで、仏僧の人形の行列を発見し、「このまま人形を作り続けて国境を越えていく」のを想像したり、「こんなものを一生懸命作り続けるよりも送電線の1本でも作った方が良いのではないか」というあたりの感覚、そう言いながらそうしない人々を慈しんでいる著者の感覚が、大変好ましく感じる。カウントダウン前後に読んだ今年最初の1冊だが、今年のエンタメノンフ、ベスト1級の快著だった。(「東南アジア四次元日記」 宮田珠己、幻冬舎文庫)
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