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しらゆき姫殺人事件 湊かなえ

まだ未読だった著者の本が文庫コーナーにあったので読んでみた。事件の関係者の証言集という形の200ページほどの本文と、その半分くらいの分量の資料集で構成されているが、事件の謎は混沌としたままで本文は終わり、本当の謎解きは資料集のなかに隠されている。まさに著者らしい緻密な構成には唸らされてしまう。つい話を「盛って」しまう人々のちょっとした悪意や思い込みが、ネットという世界のなかで沈殿していき、ついには事実とはまったく違うストーリーを作り出してしまう、そうした恐ろしさを思い知らされる作品だ。(「しらゆき姫殺人事件」 湊かなえ、集英社文庫)

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