goo

妖談うつろ舟 風野真知雄  

本の帯に「シリーズ最終話」と書いてあるので、間違いなく最終話なのだろうが、内容は、これまでの作品と大きな違いはなく、そう書いてなければ最終話だと気がつかずに読んでしまうだろうなぁという感じだ。最近、だらだらと続くシリーズものが多く、それが新しい本との出会いの妨げになっているように感じていたところなので、このようにさらっと終わるシリーズというのはある意味貴重だし、「読者思い」だという気がする。話は、いつものように、江戸の街中で起こる小さな不思議な事件をいくつか謎ときしながら、メインの物語が進行していくというスタイルだ。この作者の本は軽いが面白いので、次にどのシリーズを読もうかなどと考えてしまう。本書の途中で、ごみを収集する同心が初めて登場するが、この人物などはシリーズとはいかないかもしれないが、連作短編集の主人公にはなれる逸材のような気がする。(「妖談うつろ舟」 風野真知雄、文春文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )