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人喰いの時代 山田正紀

2人の登場人物が短期間の間に遭遇したいくつかの事件を描いた連作短編集。ひとつひとつの短編も面白いが、最後の1編でそれまでの話の様相ががらりと変わってしまうという大仕掛けが用意されているのが最大の面白さだ。ミステリーの出来栄えとしてはそこそこかもしれないが、本書のもう1つの良さはその時代背景。戦争に突入する暗い世相と事件の陰湿さが妙にマッチしていて物語の中に引き込まれる。そういう意味では、ミステリーというよりも伝奇小説に近いかもしれないと感じた。(「人喰いの時代」 山田正紀、ハルキ文庫)

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