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おとめの流儀 小嶋陽太郎

マラソン、剣道などスポーツ女子の小説は色々あって、どれも結構面白いが、本書は中学校「なぎなた」部のお話だ。非常にマイナーな競技というところに色々面白さが潜んでいる。まずマイナー過ぎて県大会や地区予選がなく、いきなり「全国大会」というのが面白い。普通の競技ならば、県大会とか地区予選の突破が主人公たちの当面の目標ということになるのだが、本書では目標自体にアッと驚く仕掛けが施されている。登場人物の1人からその目標が語られた時、その他の登場人物と一緒に読者もあっと驚かされるという仕掛けだ。彼女らにとって、「全国大会」は目標達成のための一つの経験の場でしかない。自分は中学校の時にマイナーなスポーツをやっていたが、それでも全国大会に出るためには都大会で準優勝以上の成績を残さなければならなかったし、一回勝つと決勝戦という規模ながら区大会もあった。マイナ-なスポーツを続けるにはそれなりの苦労もあるが、労せずして「全国大会出場」の称号を貰えるというのは、ほかのメジャーなスポーツをやっている人にとっては結構うらやましいことだろう。話自体は、悪い人は全く出てこないし、苦労した分だけ報われるという結果でもあり、大変気持ち良く楽しめた。(「おとめの流儀」 小嶋陽太郎、ポプラ社)

 海外出張等のため、一週間程、更新をお休みします。

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