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日本異国紀行 石井光太

仕事柄、日本に来た外国人が日本をどのようにみているのか、日本で何を感じながら生活しているのか、実際にどのような生活を営んでいるのかなどが、気になる。最近のインバウンド・ブームでそうした本も増えているような気がするし、おざなりの観光スポットの紹介や日本の良い面を強調したものだけでなく、もっとディープなものや日本の暗い面に焦点を当てた内容の本も良く見かけるようになった気がする。本書もそうした日本で暮らす外国人の暗の部分に焦点を当てた一冊だ。本書で扱われているのは、外国人が日本で客死した時の話、日本における外国人が関わる性産業の実態、日本でうごめく外国人相手の宗教団体など、いずれもなかなか目にすることのない外国人にまつわる闇の部分の解説だ。そこには、アジアの経済発展、刻々と変わる世界情勢、日本社会の成熟した部分と未成熟な部分といった大きな流れと無縁でない様々な現象が垣間見られる。確かにそうしたものの奥に、現代の日本と世界各国を映し出す鏡があるのだと強く実感できる一冊だ。(「ニッポン異国紀行」 石井光太、NHK出版新書)

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