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パレートの誤算 柚月裕子

書評誌で取り上げられているのをみて、ずっとネット書店の「読みたい本リスト」にあげていたのだが、なぜか購入が後回しになっていた1冊。先日作者の「あしたの君へ」を読んで大変面白く、内容的にも「あしたの君へ」に似ている感じだったので、遅ればせながら読んでみることにした。話は、ある地方都市の市役所の生活保護を扱う部署の女性新人職員を主人公にしたミステリー。ある日尊敬する上司が突然殺害され、主人公がその謎を追いかける。本書の良いところは、こういう設定にも関わらず、主人公が警察の捜査への協力を蔑ろにせず、ちゃんと協力すべきところは協力しつつも、市の職員としての責務を全うする点にある。それが、作品のリアリティを確かなものにしているし、読後の心地良さを生み出している。ミステリーとして最後の結末の意外性はさほどでもないが、書評で高く評価される理由がそこにある気がする。(「パレートの誤算」 柚月裕子、祥伝社)

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