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カラヴァル ステファニー・ガーバー

今年の本屋大賞、翻訳部門の大賞受賞作品。全く無名の作家の無名の作品が受賞したとして、話題になった一冊だ。架空の国の姉妹が、息苦しい生活から抜け出すために冒険の世界に飛び込んでいく。その世界では、かなり特殊なルールの元でゲームが行われていて、そのゲームの勝者への賞品は、願い事がひとつだけ叶うというものらしい。読者は、そのゲームの枠組みやルールをほとんど知らされないままに、主人公と同じ目線でゲームの成り行きを見つめていかなければならない。最初から最後までそうした設定に右往左往させられて息つく暇がない。最後に、やはりそうだったかというあまり意外でないどんでん返しと謎解きがあるが、これで本当に話は完結したのだろうかという疑念も残る。巻末の訳者あとがきを読むと既に続編が用意されているらしい。完結したかどうか疑念が残るのは、続きが気になるからではなく、語れなかった謎がいくつかあるからだが、その謎が知りたいとも思うか、このまま終わってもいいと思うかは微妙な感じだ。本作が好評だったので予定になかった続編を書いてみましたということでなければ良い気がする。(「カラヴァル」 ステファニー・ガーバー、キノブックス)

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