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開化鐵道探偵 山本巧次

明治時代の初期に日本人の力だけで鉄道トンネルを作ろうと奮闘する人々、そこで起きる不可解な殺人事件、これまでの鉄道ミステリーとは違う魅力を放つ作品だ。日本の将来を背負うような難工事を巡って、薩長の軋轢、工事から排除された米英の思惑、鉄道の開通によって職を奪われた海運業者、工事現場毎の工夫組織の対立など、様々な対立関係を背景に混沌とした状況が続くなか、鮮やかに事件を解決に導くのは探偵役の元八丁堀同心だ。様々な時代背景を上手くストーリーに取り入れてこれまでにない面白さを随所に感じさせる一冊だった。(「開化鐵道探偵」 山本巧次、東京創元社)

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