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にらみ 長岡弘樹

作者の本は、年に2、3冊のペースで読んでいるが、最近、作品1つ1つのリアリティが最初の頃に読んだ作品に比べて薄くなってきているように感じる。作者の作品の魅力がリアリティに大きく依存しているわけではないので、気にしなければ良いのかもしれないし、はっとさせられる奇抜なトリックは相変わらず楽しいし、事件の背後にある人間模様も魅力的なのだが、ここまでリアリティが薄くなるとやはり気になってしまう。何年待っても良いので、作者には、奇抜なトリック、練りに練られたストーリー展開、小さな事実を大切にするリアリティ、これらが三位一体になって読者の胸に迫る初期の頃の作品をもう一度書いて欲しいと思う。(「にらみ」 長岡弘樹、光文社)

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