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グルメぎらい 柏井壽

最近のグルメブームは誰が見てもかなり歪んだものだと思うが、それをグルメレポーター、料理人、SNSというメディアなど色々な視点からひとつひとつ取り上げて苦言をていしていく本書。多くの人の意見を代弁したような内容だが、特に料理人に対する苦言は、これまで京料理や京都の料理店に関する著作に多い著者ならではの内容だなぁと感じた。天ぷらはまず塩で食べろという料理人、食べる前の講釈の長いシェフ、腕を組んで睨みつけるようなポーズで写真に収まるラーメン店主など、勝手にしてよと思ってしまうが、そうした感情的な違和感を本書では冷静にそうしたことがいかに料理の味を損ない食の楽しさや食文化をダメにしているかを語ってくれる。素晴らしい店、一度は行くべき店だとグルメレポートで紹介された途端に予約が取れなくなり、行けない店になってしまう矛盾からの脱却を切に願う人のための一冊だ。(「グルメぎらい」 柏井壽、光文社新書)

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