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誘拐犯はカラスが知っている 浅暮三文

表題作でもある第一話を読んで、主人公の事件への関わり方が何となく出き過ぎという気がしたのだが、それに続く6つの短編が同じような感じになっていて驚いた。これはもう主人公の「事件を引き寄せる特異体質」と考えるか、あるいは作者が意識的にある種の尤もらしさを打ち捨てた作品ということになる。後者と割り切って読んでみると、確かにここに収められた短編はいずれも、動物の行動に関する知識を駆使して事件の謎に迫るアクロバティックなプロセスを楽しむエンターテイメント作品として出色の出来栄えと言えるだろう。(「誘拐犯はカラスが知っている」 浅暮三文、新潮文庫)

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