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霧のむこうに住みたい 須賀敦子

久し振りに読んだ著者の本。一貫したテーマがあるわけでもなく、ドラマチックな内容でもなく、ただ遠い昔の思い出が語られているだけなのだが、いつものように、とにかくその静謐な文章に純粋に吸い込まれてしまった。著者の本を読むたびに、著者がこうした静かな高揚感に浸ることができる唯一無二の作家だ感じるのは何故なのだろう。それこそが、言葉の持つ力であり、文章を読むことの楽しみだと今回も思い知らされた気がする。(「霧のむこうに住みたい」 須賀敦子、河出文庫)

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