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ブラックボランティア 本間龍

2020年の東京オリンピックで必要となるボランティアの数は、11万人と試算されていて、現在の計画では、それらを無報酬、宿泊費交通費自己負担という条件で募集するらしい。本書は、そのやり方のブラックさを痛烈に批判する。いくらブラックでも参加する本人たちが承知の上でのことだから他人がとやかく言うことではないという考え方は、これまでのブラック企業を蔓延らせてきた無関心・無責任と変わるところがない。幸い今のところボランティアの希望者は思いの外少ないらしいが、それではオリンピックそのものが開催できなくなってしまう。運営側がこれまでの非を認めて、正当なちゃんとした雇用条件と待遇を用意してもらいたい。東日本大震災からの復興」といった美辞麗句をつけて、何となく日本中がオリンピックに水をさす言葉や発言がしにくいなか、正々堂々と異を唱える著者の姿勢は、それだけで、耳を傾けたくなる。それに加えて、ここのところの猛暑、ブラック度はますます増している気がするし、そもそもこんな時期にオリンピックを開催して良いのだろうかという著者の主張の疑念に、心から賛同してしまった。(「ブラックボランティア」 本間龍、角川新書)

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