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黒魔術がひそむ国 春日孝之

副題「ミャンマー政治の舞台裏」。ミャンマー政治において占星術や呪術がかなりの影響を与えていることに焦点をあて、民政移行や遷都などにそれがどのように関わったかを教えてくれる一冊。ミャンマーの人と親しくなったり、ミャンマーで仏教寺院に行ったりすると自分の誕生日が何曜日だったのかを知っていないとダメという場面が時々あるし、ミャンマーでは政治的な節目を縁起をかついで占いで決めることがあるという話はよく聞くが、ここまで深く市民の生活や政治の場面で占いが重要な役割を果たしているとは知らなかった。変わった着眼点の内容で全編面白く読めたが、昨年刊行された本なので今年になってからのクーデターの話は当然書かれていないし、ロビンギャ問題についての記述も少なく、ちょっと刊行のタイミングが悪かったという感じだ。少しだけ触れられているロヒンギャ問題に対するアウンサンスーチー氏の対応についての記述は、問題の複雑さを指摘していて、これまで読んだ文章の中では最も説得力がある気がした。ちなみに自分の誕生日は水曜日。水曜日は午前と午後で違う曜日になり、何時に生まれたかが重要なのだが、今のところ知る術がない状況で困っている。(「黒魔術がひそむ国」 春日孝之、河出書房新社)
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