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不完全性定理とはなにか 竹内薫

先日読んだノイマンの本で取り上げられていたので気になっていた1930年代にゲーデルとチューリングが発表した世界の論理学界を大きく揺るがせた「不完全性定理」ついての啓蒙書。本書は、著者自身が語るように、このテーマを論理学の基礎からわかりやすく説明していくというよりも、著者自身がそれを理解していった経緯を辿ることで読者にも著者の体験を追体験してもらおうという意図が強く感じられる構成になっている。実際本書を読んでみて、「あるシステムの中でそのシステム自体の整合性を証明することはできない」「数学的には正しいことでも証明できないことがある」というゲーデルの定理については、何となくだがそれに至る道筋を追うことができた気がした。一方、全く別のアプローチで同様の結論に達したとされるチューリングの思考の道筋は、最終的になぜそうなるのか全く理解できなかったが、それが今のコンピューターの基礎になっていることだけはわかった気がする。本書の内容については、理科系の人とかコンピューターを勉強してきた人にはそれなりに常識になっている部分が多いとのこと、恥ずかしながら文系人間の自分にはそのこと自体が大きな驚きだった。(「不完全性定理とはなにか」 竹内薫、ブルーバックス)
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