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フォン・ノイマンの哲学 高橋昌一郎

20世紀の天才科学者ノイマンの伝記。題名の通り、ノイマンの生涯を時系列で記述することで彼の「哲学」を浮かび上がらせてくれる内容。ノイマンについては、現在使われているコンピューターや量子力学の基礎を確立した科学者ということは知っていたが、それ以外にも天気予報システムを作り上げたりアメリカの原爆製造に大きく関与したりと、様々な分野で革命的な業績をあげていたというのは知らなかった。特に原爆開発における彼の影響の話は結構衝撃的だった。原爆開発において実際に実験するまではその威力についてTNT爆弾の400トン級という意見から4万トンだという意見までバラバラだったという(実際には2万トン級)。ノイマンの人物像については、幼少期の天才ぶりのエピソードは少し誇張が入っている感じがするが、原爆の最初の標的として降伏の意思決定をすることさえできなくなる「東京案」に反対する一方で、日本人の恐怖を最大限にするとして「京都案」を強く主張したというエピソードを読んで、彼の「超合理主義」「虚無主義」が怖いほどに伝わってきた。(「フォン・ノイマンの哲学」 高橋昌一郎、講談社現代新書)
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