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君のクイズ 小川哲

TVのクイズ番組の決勝戦。早押しで正解した方が優勝という土壇場の最終問題で、主人公の対戦相手はクイズの問題が全く読まれない段階でボタンを押して正答する。優勝を逃した主人公は、不正とかヤラセがあったという可能性も視野に入れつつ、最終問題までの各問題を検証し直し、対戦相手が何故一文字も読まれないうちに正解できたのかを推理していく。彼のたどり着いた結論は、不正やヤラセとは別次元のクイズというものの面白さや奥深さ、それに打ち込むクイズのプロともいうべき人たちの驚くべき思考方法を教えてくれるものだった。本書にはそこに至るまでの主人公の思考が逐一書かれていて、それが本当に面白かった。なお、50年以上前の自分自身の経験だが、通っていた小学校があるテレビ局の近くにあり、何回か朝の番組のクイズコーナーに小学生の回答者として駆り出されたことがある。そこでテレビの裏側を垣間見るある出来事に遭遇した。どんな出来事だったかを書くことは差し障りがあるのでできないが、それを踏まえて考えると、主人公が最後に出した結論、十分にあり得るなぁと思った。(「君のクイズ」 小川哲、朝日新聞出版)
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