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老人ホテル 原田ひ香

色々な意味で過酷な環境で育った主人公が、ホテル住まいの老人たちとの関わりを通じて前途を模索していく物語。題名から、最初はホテル住まいの老人たちが主役なのかと想像しながら読み始めたが、やがて老人たちはあくまで主人公が立ち直ろうとする意思を助けるキッカケに過ぎず、物語の本筋が主人公が老人たちと関わりながら彼らの経験、世間の常識、経済に関する知識などを断片的に吸収していく過程にあることがわかってくる。途中で出てくる経済的な蘊蓄だけではない魅力を持った一冊だった。(「老人ホテル」 原田ひ香、光文社)
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