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でぃすぺる 今村昌弘

著者の本は4冊目。既読の4冊はいずれもホラーと謎解きが合体したような特殊設定ミステリーだったので、今作もそうなのかなぁと思いながら読み進めた。物語は、小さな地方都市に住む小学生3人が学校の壁新聞を作るために地元に伝わる怪談話を調べていくうちに、何人もの犠牲者を出した凄惨な過去の歴史に遭遇、その裏に隠された謎を解いていくというもの。読みながら感じたのは、最近読んだホリー・ジャクソンの「自由研究には向かない殺人」シリーズ三部作との類似だ。小学生と高校生という違いはあるが、いずれも学校活動の一つとして身近な謎を追いかけるうちにその地域に潜む意外な黒歴史にたどり着くというストーリーだし、主人公たちの謎解きに邁進するモチペーションが仲間の一人の身内の死の謎であることや、警察のような捜査権を持たない子ども達がSNSを駆使して情報を集めるといった設定も共通だ。最後に見える景色や着地点は、如何にも著者ならではのものという感じで堪能した。(「でぃすぺる」 今村昌弘、文藝春秋社)
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