goo

あなたが誰かを殺した 東野圭吾

お馴染みの加賀恭一郎シリーズの最新刊。読み始めて最初に驚いたのは次から次へと人物が登場すること。最初の20ページまでに4家族15人の老若男女が登場するが、何故か登場人物一覧がない。止むを得ず手書きの一覧表を作りそれをしおり代わりにて読み始めることにした。事件は別荘地で起きた連続殺人事件。犯人はすぐに捕まりあっさり自供もするのだが、今ひとつ動機が曖昧、残された証拠も一貫性がなく、地元警察も事件の全容解明に苦心している。そこに登場するのが休暇中の加賀恭一郎で、最初に登場した15人のうちの生き残った10人とのやりとりを通じて見事に真相を解き明かす。本書の一番の魅力は、真相の意外性もさることながら、加賀恭一郎の冴えわたった思考と、それを克明に伝える文章だ。著者の名作のような人間味溢れる感動作とは違ったミステリーの醍醐味を堪能した。(「あなたが誰かを殺した」 東野圭吾、講談社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )