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旅のつばくろ 沢木耕太郎

ノンフィクション作家による旅のエッセイ集。内容的には、旅先で出会った人、景色、食べ物、お酒、出来事などが書かれた普通の旅エッセイだが、収録された40編ほぼ全部に共通しているのが旅というものを通じて過去と現在の繋がりが記述されていることだ。再訪した場所の場合は、若い時に訪れた時の印象との違い、過去に訪れた時にあったものがなかったり、なかったものがあったり、という変化が描かれている。一方、初めて訪れた場所では、何故若い時に訪れようとしなかったのか、何故訪れることができなかったのか、あるいは昔訪れていたら何を感じただろうかなどが語られる。自分は一度訪れた場所にまた行くよりも行ったことのない新しい場所に行く方が断然面白いと思う方だが、本書を読んで、昔行った所を再訪するの悪くないかもと少し思うようになった。(「旅のつばくろ」 沢木耕太郎、新潮文庫)
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