goo

山の不可思議事件簿 上村信太郎

静かな「山と渓谷社」ブームはまだ健在のようで、本書もそうした流れで書評誌に紹介されていた一冊。本書は30年前に書かれた本が最近になって文庫化されたもので、最近購入したにも関わらず奥付けを見ると初版本なのでびっくりした。鉄道とか山登りとか、そういった少しニッチなテーマの入門書はマニアでなくても楽しく読めるものが多い気がする。本書は、山に関する奇妙な現象、神秘的な伝説や怪談、山にまつわる謎の生き物の話などを網羅的に解説してくれる内容。紹介されているエピソードの中には、マルローのエベレスト初登頂の謎、ブロッケンの妖怪、雪男などお馴染みのものもあるが、大半は初耳でとても面白かった。読後の第一印象は、語られる出来事の不可解さもさることながら、とにかく山に関しては不思議なことがすごく多いなぁ、しかもそれをよくこれだけ集めたなぁということ。山での出来事は、目撃者や関係者が単独の場合が大半で、それが事実なのか極限状態における幻覚なのかという客観的検証が困難なことがその一因だろうが、これだけ色々あると実際未知のことも多いんだろうなぁという気になってくる。山の遭難について、世界で最も遭難犠牲者が多いのは日本の谷川岳だという事実には驚かされた。また本書には「遭難からの奇跡の生還」の事例が数多く書かれているが、著者の「大半は自力での生還」というコメントが印象的だった。(「山の不可思議事件簿」 上村信太郎、ヤマケイ文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )