goo

蔵書の苦しみ 岡田武志

蔵書を巡る古今の様々なエピソードや著者自身の体験・考えを綴ったエッセイ集。本の重みで床が抜ける話、蔵書の処分方法、トランクルームの活用法、電子化、図書館の利用法等、幅広い内容の蔵書を巡る話が満載だ。本を集める性癖のない者には、単に本が好きな人の「のろけ話」のような感じでたわいない内容だが、何となく彼らの心理状態が分かるようで微笑ましい。「本を読むより買う方が好き」というところまでは何となく分かる気がするが、読んでいない本がある程度溜まると「しばらく買わない様にしよう」と、そこで歯止めをかけられるかどうかがある意味で分れ目だということを肝に銘じることになった一冊だ。(「蔵書の苦しみ」 岡田武志、光文社新書)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

サバイバルファミリー 矢口史靖

自分が面白かった本を娘達に勧めることは時々あるのだが、本書は逆に娘達に面白いと勧められて読んだ一冊。娘達は二人とも既に本書もその映画化された作品も両方読んだり見たりしたというから、かなり気に入ったのだろう。特に、映画の中の藤原紀香が最高だったという。「もしかして斎藤ファミリーの奥さんか?」と聞くと、その通りだった。映画の方もかなり原作に忠実で、しかもその明るいタッチを伝えているようだ。深く考えずに読んだ方が良いという作品は確かにあるが、本書は、そうしたエンターテインメント作品の秀作だ。(「サバイバルファミリー」 矢口史靖、集英社)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

マンション格差 榊淳司

かなり前の話になるが、本書は本屋さんで偶然見かけて、面白そうな題名なので読んでみることにした一冊。その時に新聞のベストセラーのランキングをみたら、ノンフィクション部門のベスト10に入っていた。この本の題名に惹かれて読んでみようという人が多いのかもしれない。「自宅を持つなら一戸建て」という「一戸建神話」という言葉を聞かなくなって久しいが、社会の高齢化が進むにつれて、様々な点で「集合住宅」というものの良さが見直されている。また、そうした実用面での問題に加えて、高齢化社会では多くの人が「相続」という問題に直面し、代表的な資産である「住宅」というものに対する見方にもそうした要素が確実に大きくなっている。本書を読みたいと思う人には、そうした人々の考え方の変化、心配事、関心事について役立つ知識を与えてくれるのではないかという期待があるのだと思う。本書には、中古マンション価格の実態、タワーマンションの闇、マンション管理組合に関する注意事項など、ためになるエピソードが満載だ。新書サイズの啓蒙本の大きな役割が、読者の知りたいというニーズに的確に応えることだとすれば、本書はまさにそうした本の良い意味での典型例と言ってよいだろう。(「マンション格差」 榊淳司、講談社新書)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

文庫解説ワンダーランド 斎藤美奈子

文庫解説に関するエッセイ。著者が言うように、文庫の巻末の解説は単なる作品のオマケ以上の存在だと思う。解説には、①作品や著者の情報提供  ②著者へのオマージュ  ③解説者自身の自己満足  ④作品の新しい解釈や読み方を提案する挑戦する解説などがあるというが、それぞれが面白かったりためになったりする。文庫の巻末に解説がないとガッカリする自分としては、ますます文庫の巻末の解説を大切にしたいと感じた一冊だった。(「文庫解説ワンダーランド」 斎藤美奈子、岩波新書)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
   次ページ »