玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

悲しいほど無駄な住民投票であった

2015-05-19 00:00:51 | 政治

「大阪都構想」の賛否はどちらも消化不良で、僅差で伯仲しただけに両者の亀裂を深め、何のメリットも生まなかった虚しい選挙結果となった。何かをしなければならない切迫した大阪市が、座して死を迎える方を選び、突撃して死を迎える方を拒否したことになろう。後に残ったのは徒労感ばかりで、あきらかな無駄としては、多大な選挙費用、「大阪都構想」関係局の人件費、公募という名の猟官制による民間区長、校長、教育長、など。結果は、税金の無駄遣い帝王の退陣となった。

彼は1票差で勝っても、勝ちは勝ちだと言い張る種類の人間だろう。彼の言う民主主義は、どうもチョット違う。言ってることは子供会議の単なる多数決の勝ち負けで、それは民主主義の根幹のことではない。素晴らしい劇場型の政治タレントであることは認めざるを得ないが。

不思議だと思ったのは、大阪市を都にするのではなく、市を廃止して五つの特別区にする「大阪都構想」と言った。そこには、大阪人の誇りは大阪市にあって、大阪府ではない、ということに気づかない「維新の会」指導者たちの頑固な姿勢があった。結局、大阪府側から提案された「大阪都構想」であったのだ。大阪市民は、京都、名古屋等は全く眼中になく、ライバルは東京のみと言い切る。そんな誇り高い大阪人の心を掴むのは難しい。

『行列のできる法律相談所』で同僚であった住田弁護士が、あれだけ拮抗、伯仲させながら、「最後に崩せなかった票田があった。」とテレビで言っていた。その鉄壁な票田とは、たぶん橋下体制では必ず切り捨てられる福祉サービス受給者層であり、労働組合関係者であり、社会的弱者である高齢者層であろう。また、最終段階で、たった1万の票を逆転できなかった最大の敗因は、自らの部下である大阪市職員の熱い支持を受けていなかったからではないのか。大阪市職員関係票は恐らく3万票以上ある筈だ。

橋下市長は、公を全く理解できない民間校長や民間区長の不祥事を、自らの政治信条を守るために、その実態に眼をつぶり、失敗者の群れを擁護する一方、職員個人の失敗を執拗に痛めつけ、スケープゴートのようにやり玉に挙げたり、無用な労働争議を巻き散らかした。そんな人物に部下の信頼は生まれないだろう。

ともかく、全く無駄な結果となったというのは悲しいから、安倍・菅体制の憲法改正への暴走に少しばかりの冷水を浴びせる効果があったことだけは評価したい。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする