寺島実郎『シルバー・デモクラシー』岩波新書を読んだ。寺島実郎は1947年生まれ、団塊の世代である。
山口二郎は1958年生まれ、両者は10歳違う。山口は「団塊の世代が本当にダメですね…」と厳しい。
寺島は団塊の世代を「日本の歴史の中で「個」と「我」の論理を認められた最初の世代」という。
「決して自らの子供たちの教育に成功していない」と自省もしている。この両者の団塊の世代論は面白い。
寺島は18歳へ選挙年齢を引き下げても、全体の投票率は54.7%(2016年参院選挙)にすぎず、これまで高齢者は7割近い投票率、これでは「老人の、老人による、老人のための政治」になってしまう、と言う。
団塊の世代はその爆発的な量のゆえに、人生の節目で競争が厳しかった。特に女性は就職・結婚で苦労しただろう。男性は社会の中では戦前派の命令の下に自我を小さくして働いてきた。それで権力を握ると、変な人間が出て来るのだろう。
老後になって、又人数が多いと厳しい目が向けられる。そもそも団塊の世代を数量で形容するのではなく、戦争の結果という事実として考える土壌がこの国にはなかった。そこを議論しないと単に感情論になってしまう。