先日、石田勇治氏の『ヒットラーとは何者だったのか』というネット講義を拝聴した。講義の終わりに「戦時中に閣僚になった人間が戦後になって総理大臣を勤めることについて、どう思うか」という質問があった。
そのとき、石田氏は「近過去の事ですね」という前置きをした。むろん答えは「ドイツではありえぬことだ」という回答だった。岸信介のことである。
その時の「近過去」という言葉が妙に気に入った。以後、使わせてもらうことにした。
その近過去の事だが、60年安保の時にデモで人が死ぬことを子供の時にテレビの画面で知った。
一方、官邸で岸首相が暴漢に襲われ、抱きかかえられながら運ばれるのをテレビで見た。
私はその記憶をつないで、てっきり左翼のテロ行為かと思っていたが、事実は違うらしい。
岸は次期総裁を大野伴睦にすると密約していたのを反故にして池田勇人にしたのである。
その代償として右翼の暴漢に襲われたようである。その会合の招待状を犯人に渡したのは大野伴睦の秘書だったそうである。(参照文献:大下英治『自由民主党の深層』)
岸は人間の人格を傷つけたのだ。岸の孫の安倍晋三は菅長官を単なる役人操作の道具として扱っていたのではないだろうか。だから、今、その代償を受けているのかも。菅氏の鋭い眼はそういうふうに見えてしまう。
道端の千両か、万両か?そろそろ正月かな。