玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

侍従長の日記から

2020-12-21 11:06:01 | 近現代史

今話題の加藤陽子氏の講義をネットで見た。相変わらず緻密に周到に分析された論述であった。その講義では、終戦後に侍従長を勤めた『稲田周一日記』を引用していた。

昭和21年8月14日 明日は終戦記念日だ。その前の晩なので、陛下御主催の座談会が行われた。・・・御自分で開会の辞を述べられた。

―戦争に負けたのにはまことに申し訳ない。しかし、日本が負けたのは今度丈ではない。・・・白村江の一戦で一敗地に塗れたので半島から兵を引いた。・・・この際日本の進むべき道も自ずからわかると思う。―(引用文:東野真『昭和天皇二つの「独白録」』より)

この史料から、敗戦の翌年には「宮中や政権中枢は8月15日を終戦記念日にする」との伏線が既に在ったと私は捉える。

加藤氏は天皇の言葉の“白村江”の部分を引用した天皇の考え方に触れていた。そこまで広くこの史料を活用し考察するのかと感心をした。

また、加藤氏はさりげなく「国体が変わらないと史料が出て来ない」と言ったような。妙に「国体」という言葉が頭に残った。

そう言えば、自民党の憲法草案を作った人たちは、どの程度「国体」の意味を考えていたのだろうか。

コメント
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