『昭和天皇独白録』は作成当時に手元に木戸日記が無くても、東條内閣の誕生については『木戸日記』と『昭和天皇独白録』との整合ができたろうし、戦争責任訴追から、是非にも調整して置かなければいけない重要事項だった。
仮に、天皇が10月18日の東條陸相への大命降下の時に、御自ら9月6日の御前会議条項の白紙化を東條に命令したならば、白紙化が出来なかった場合、東條は責任を取って首相を辞職せねばならなかったはずである。
実際は、木戸内府が替わりに東條に言った。東條は10月18日に首相に就任し、何回かの検討会を行い、たった2週間後の11月2日には、涙を流して白紙化はできない、と天皇に上奏して終わった、…。
【参謀本部編『杉山メモ(上)』原書房より】
ふり返れば、「形だけの白紙化の検討」のような、最初から仕組まれていたような感じがしないでもない。
結局のところ、木戸は、鈴木と東條に騙されていたのかもしれない。【次回へ】