昨日、新宿コマ劇場で
「リボンの騎士・ザ・ミュージカル」というのを
見てまいりました。
実はこの作品、脚本と演出が宝塚で、演じるのはモーニング娘だったんです。
いわゆる「宝塚とモーニング娘のコラボレーション」だったわけ
宝塚歌劇団からも専科の箙かおるが出演し、さらにマルシアもご出演でした。
まず驚いたのが劇場前にずらりと並ぶアキバ系のお兄ちゃん達。
大きなバッグの中身はブロマイドやグッズにペンライト・・・
男同士で集まってケンタッキーあたりで、言葉少なにブロマイドを見せ合ったり
語り合ったりしている姿が・・・不気味でしたーー
後は親子連れで。
私達みたいに女性の二人連れっていうのか完璧に浮いていたと思います。
それでも驚いたのは、客席が結構空いていたということ。
前方と後方は一杯だったのに、真ん中ががらっと空いている状態
昨日は土曜日で、しかもミュージカルの幕は開いたばかりなのに。
当日券を求めるお兄さん達があんなに並んでいたにも関わらず、座席が
埋まらないのかーーーと思ってしまいました
メンバーの名前を知らないような私ですら
「今のモーニング娘って・・・ちょっと落ち目?」と思ってしまった程です。
舞台はまるで「学芸会」の延長線
それでも相当厳しく指導されたと見えて、それぞれ「宝塚風」テイストの
物腰にはなっていました
さらに歌の方も随分努力したんだなあと思いました。
けれど
どうしても「ごっこ遊び」にしか見えないんですね
モー娘の面々は、みーんな髪の毛は長いまま、化粧もテレビに出るのと
同じで、体型補正もきちんとしないままに「男役」を演じていたんです
「宝塚の男役」は一種の様式美です
立ち居振る舞いも大事であるなら見た目の「なりきり」も非常に大切なんですね
(箙かおるが完璧なスタイルで演じていたものですから、よけいに女の子
達の嘘バレバレの演技が気に障ってしまって)
やたら女の子っぽくて声が高いフランツ王子だの、華奢で長髪のサファイアに
見た目は男でも中身は女みたいなアンサンブル達
これを「ごっこ遊び」といわずして何というのでしょうか?
「モーニング娘だから許される」と言うのは、「LOVEマシーン」がヒットして
いた頃の話
今は、かつての勢いもなく、テレビで見ていたようなキラキラ感がないんですね。
いわばそれぞれみんな「背水の陣」に立たされていると思うんです
だから、今回のような企画の場合は、本当に体当たりで本気を出して
演じて自己アピールしていかないといけなかった筈です。
吉沢・高橋・・それからヘケート役の子、この3人はボイストレーニングを
積めばミュージカル女優になれそうな感じですし、明日の「本田美奈子」も
夢じゃないと思います
(っていうか今回はそういうチャンスがあったのよ)
いわゆる「テレビの中のアイドル」に限らず、それぞれの特性が発揮される
舞台になった筈だと思います
なのに、事務所の意向なのか、髪も化粧も声も姿もアイドルのまま
優れたミュージカルをやってしまった所に、舞台の
ファンとしては腹立たしさを感じてしまいます
またフィナーレは、白い羽根を使って「LOVEマシーン」等のヒット曲を
歌っていたんですが、振り付けと曲のノリがちぐはぐ
演出家のこだわりで、わざと「アイドルの総立ち」を
避けたんだろうとは思うんですが
それならミュージカルの中の楽曲だけを歌わせればよかったのにと
思いましたし、あれではお兄さん達も消化不良だったのでは?
いずれにしても全てにおいて中途半端なのが「モーニング娘」なんですね。
かつて売れないアイドルだった「SMAP」が、「やれることは何でも全力でやろう」
と意思統一して、アイドルとしてはタブーだったバラエティでの
ヅラコント等を体当たりでやり続け、
やがて今のようなおばけグループに成長した事を思うと、
やたら従順で自己アピールできず、自分達が置かれている今の立場を
認識していないようなモーニング娘の姿はちょっとかわいそうな気がします。
「宝塚とモーニング娘の夢のコラボ」と銘打って行われた今回のミュージカル
ですが、どちらにとってもすっきりしない後味を残しました。
(ヅカの演出家がモー娘に対して蜷川幸雄のような意思を持てなかった事、
モー娘の側にもそこまでやろうという意気込みがなかった事が失敗です)
音楽がとってもいいミュージカルだったので、なおさら悔しいと思いました。