ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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めぐり会いは再び

2011-07-03 15:45:05 | 宝塚コラム

 めぐり会いは再び 

 

 小柳奈津子のデビュー作は成功

大劇場デビュー作という事で、あまり期待していなかったし、なんせショーが「ノバ・・・」

だから芝居の方はほとんど話題にもならず・・・だったのに。

見てみたらこれが超面白い 

成功の要因は

 原作があるものだったこと

 どこにでもあるストーリーだったこと

 凝った演出をせずにきちんと台詞劇にしたこと

でしょう。

原作はマリヴォー「愛と偶然との戯れ」というのですね

ひねくれた主人公二人が使用人ととりかえっこをする話。これってどこにでもあるような

話で目新しさは全くありません。

他の舞台でやったら「新しくない」の一言で終わる話。

でも、宝塚ではこういう単純明快だけど女の子達が心の底で憧れる恋物語を

描けないと本物の演出家とはいえないのではないかと。

このお話は最初から先が見えているし、展開も予想がつきます。そんな「予定調和」

を飽きさせずに見せるのは中々難しいのでは?

今時のキムシンだの植田景子なら、大々的な音楽を使って歌いまくり、踊りまくり

ついでに自分の哲学みたいな主張まで入れるところですが、小柳は、シェイクスピア

風の台詞劇にしました。

どこにも「?」な台詞はなかったし、鼻につくような男尊女卑台詞もなし。

しかも多くの登場人物を使ってまとめましたね

それだけに派手さには欠けたと思うのですが、台詞やアドリブの掛け合いが面白く

じっくり楽しむことが出来ました。

少々残念だったのは「星祭り」っていう割にはお祭りシーンがなかったこと。

大勢いる大道芸人さん達にもう少し活躍の場を与えてもよかったのでは?くらい。

何より嬉しかったのは脚本が「女性が憧れる恋物語」「女性による女性の為の話」

になっていたこと

この作品を通して、劇団はもう一度「宝塚歌劇とは何なのか」という事を考えるべき。

もし、「こんなありふれたラブストーリーはつまらない」と思うファンがいたら

そんなファンこそ宝塚には必要ない筈

だって宝塚は甘くてありえないような「恋」を演じてなんぼの劇団なんだもん。

 

ラストシーンで、全てがわかった主人公二人がきちんと着替えて出てきますよね。

当たり前のシーンなんだけど、こういう気遣いが「バラの国の王子」にはなかった

なあ・・・と ラストの大団円は主人公達が一番素敵な服で出てこなくちゃ。

 

 出演者について

柚希礼音・・・ドラント。

        貴族の妾腹に生まれた事からちょっとひねくれている青年を、とても

        上手に魅力的に演じていました。柚希は前を向いても横を向いても

        笑ってもすねてもかっこいい男役で、その完璧な造形には感動します

       それゆえになぜ天海祐希ばりにブレイクしないのか不思議でしょうがない。

        時代が・・といってしまえば終わりですが、やっぱり組の長としての

       求心力が今ひとつなのかなあって気がします。

夢咲ねね・・・シルビア。

        金髪にピンクのドレスで出て来た時は正直、引いてしまいましたが、

        ふくれっつらをすると思わず微笑んでしまう程可愛いので許す

        気が強くてぽんぽん言い放つ感じが少しも嫌味でないのはよかった。

        柚希との相性もいいようですし。

涼紫央・・・マリオ。

       いつも本ばかり読んでる女嫌い・・というか斜め30度から人を見下して

       いるお兄ちゃん。本来の涼とは真逆のキャラクター 上手で音波みのり

       との相性もぴったり

       今回、ショーでも芝居でも「二番手」で頑張っているのですが、彩吹真央や

       未涼亜希のような強烈な印象を残す事は出来ないなあと

       本来は演技派タイプなので、そっちへいくべきの人ですね。

紅ゆずる・・・ブルギニョン。

       役柄的に非常に似合っていたし、面白い動作や台詞回しには笑わせて

       頂きましたが。使用人の役の方がぴったりっていうのは「二枚目」路線の

       男役としてはいかがなものでしょう。しつこいけど、もっと上品さがほしい

       自分の技術のなさを大仰な動作と声で誤魔化そうとしているようで、この

       ままいくと下級生に悪い影響を与えないとも限らないし、組の和を

       乱す恐れも・・・ しっかり柚希をフォローする存在にならないと。

白華れみ・・・リゼット。

       言う事なしの完璧な演技でした。紅をうまくフォローしていたと思います。

夢乃聖夏・・・リュシドール。

        年上の人妻と不倫中の騎士。万里柚美にうまく手のひらで転がされてた

        感じ。一生懸命にやっているのはわかりますが、色気がないのでぞくぞく

        しない。ここらが限界か。

美弥るりか・・・アジス。

         化粧も衣装もぴったりでとても魅力的かつ可愛い皇子様でした

         夢をみて現実をみない王子が小間使いに説教されて、でも好きな

         果物を差し出されるとついわけてあげてちゃう優しさ。カカア天下に

         なりそうな雰囲気がとてもよく出ていたと思います。

真風涼帆・・・エルモクラート。

         大道芸人さん達のお芝居の脚本を最後に放り出してしまった気弱な

         脚本家死亡。でも衣装もメガネをかけた姿もぴったりで「普通の役も

         出来るんだー」と感心 見た目はいいし、体も大きいし正統派二枚目

         としては素直に育っている印象です。

音波みのり・・・レオニード。

          マリオが好きでつきまとうストーカー姫。でも今時の娘や国しては

          顔が綺麗で演技もきっちり。ラスト、いやがるマリオに嬉しそうに

          くっついている姿が印象的でした。

     

鳳稀かなめという正二番手がいなくなった星組は、少々頼りないですね。

それでも「愛と青春の旅立ち」の頃に比べれば熱くなっている方なのかしら?

今のところ柚希を支えるべき紅や夢乃達が、結局どうしていいかわからず

がむしゃらにやみくもに真っ暗なトンネルを走っているので、灯りになる

「理想の男役像」が必要なのかも

涼の演技がしっかりしているのは、彼女の中に永遠の憧れ「紫苑ゆう」がいるから

だし、それを目標に頑張っているから。

そういう意味で、紅達はどうなのかしら?って疑問に思うのよね。

柚希の事は多分「何でも出来る自分とは違う世界の人」くらいに思ってない?

そうじゃないって。自分達が「憧れの男役」にならないといけないと言う事。

もっと上級生として男役の先輩としての自覚を持ってほしいですね

柚希もそろそろ優しさだけじゃなくて下級生の事も細かくみるような怖い存在に

ならないと求心力は増しませんよ。

なんせ遠慮深い上級生の二番手とか、周りが見えてない二番手候補しか

いないんだもの。

        

 

コメント (4)
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ノバ・ボサ・ノバ 

2011-07-03 10:22:16 | 宝塚コラム

駅が暗いのはなれたけど、ビル全体が暗いのって慣れるのに時間が必要ね

東京宝塚のシャンデリアに灯りがつくのはいつなのかしらね・・・

 

 ノバ・ボサ・ノバ 

 

巷で大絶賛、チケット売れまくり・・・のようですが、正直違和感ばかりで楽しめず

何で?どうして?と考えてばかりいました。

 

 前回の雪と月

初演も昭和の再演も見ていない私にとって初「ノバ・ボサ・ノバ」は草野先生演出で

轟悠・香寿たつき・月影瞳の雪組版です。

無論、その後の真琴つばさ・紫吹淳・檀れいの月組版もみてはいますが、

個人的に最もひきつけられたのはやっぱり雪組でした。

鴨川清作という人がどのような演出をしたのか、私は知らないけど、「鴨川命」の

草野先生が演出したこの作品は多分「正調」という事でいいんじゃないかと思って

います(違ってたらごめんなさい

轟悠率いる雪組版はとっても素直にそれぞれが演じていて、無理がなく、場面も

さらさらと流れていくようでした。

それぞれの人物の個性や感情もよく伝わって来て

ショーの中で起承転結していく物語の面白さに感動しましたし、中詰の華やかさと

シナーマンの緊張度にぞくぞくした記憶があります

轟悠は決して歌唱力があったとかダンス力があったとかいうタイプではありませんが

雰囲気の中に土着性を感じ、それがソールというキャラにぴったりで。

ゆえに求心力を発揮したのかな・・・と

香寿たつきもそうだし、マールやブリーザを演じた安蘭けい・成瀬こうき・朝海ひかる

にもそういう土っぽさを感じたからこそ、観客は祭りの中に入り込んでいけたのでは

ないかと

そして、一人垢抜けて都会的汐風幸演じるルーア神父と未沙のえるのシスター・マーマ

の絶妙な掛け合いが楽しくて。

 

一方、月組版の方は全体的に歌唱力に難ありで、それゆえに何とか違いを出そうと

やりすぎた感がありました 実力派ナンバーワンで新人公演でスタンディングが

起きた霧矢大夢がピエロの一人というのも納得行きませんでしたし・・・

思い込みなのかもしれませんがやっぱり「シナーマン」は朗々と歌って欲しいと

思っているんですね。変な癖をつけたり、息を吐いたりせずに こっちはもう

張り詰めた糸のような気持ちで見ているわけですから。

 

今、思えば雪組版というのは正しすぎて面白みがなかったかもしれません。

でも、あの頃の雪組が何だかんだいって轟悠を中心にしっかりまとまっていた事は

確かだし、それが求心力となって観客を引っ張ったのも事実。

そして月組版も真琴つばさのキャラに合わせて皆が一生懸命フォローしようとしてた

のも事実で。ファンはそういうのを見たいんだよなあと思うわけです。

 

 藤井大介版「ノバ・ボサ・ノバ」

今回は草野先生ではなく藤井先生でした。

藤井先生と言えば今や宝塚を代表するショー作家で、いわゆる「お祭り」は得意の人。

・・・と思って期待したのですが

オープニングのちょっと変わったカリオカのデュエットからしてもう「何か違う」って感じです。

さらに「ソル・エ・マル」の下手から上手への流れるようなダンスがかったるい。

テンポが速いなーーと思っていると、他の場面ではやたらゆったりしていて、

「ため」が多すぎ

その「ため」の為に、一場面一場面が妙に重くて長ったらしくなり、次の場面へさらっと

流れていかない。

振り付けも少し変えたのはわかりますが、技巧的にすごいなーーと思う面はあるものの

その人の感情が伝わりにくくなってしまって、「ストーリー性」が薄くなったような

気がします。

こんな事をなぜ藤井先生が・・・・?とあれこれ考えたのですが、多分に理由は

彼が見たという昭和版(安奈淳主演)に近づけたかったのかなって。

私、大昔に安奈さんの歌だけ聞いた事があるのですが、テンポが今よりゆっくりしてて

重厚感があったような記憶があります

でも、あの頃は「歌」の安奈さん主演だったし、昭和という世代的なものもあったし・・・

それを今の生徒でそのまま再現・・・っていうのはかなり無理があったのでは?

音楽にしても、少し現代的なメロディが付け加えられてて、それが昔の曲とマッチせず

ちぐはぐな印象をうけました。

 

 出演者はバラバラ・・・・

 

全体的に皆さんがよく頑張っていたと思うんですが、その「頑張りどころ「が違っている

というか、それぞれが自分の事で精一杯の印象。

「ため」過ぎて自分の世界にどっぷりはまっている柚希、がなってキザるのに必死な

紅、一生懸命やってるけど華にならない夢乃、技術的に高すぎて誰もついてこない

白華、別世界の涼と英真という感じです。

フォローに徹していたのは・・・・美弥るりかくらいかなあ。

歌い方もそれぞれが違いすぎて、よその組から寄せ集めたような感じがしました。

柚希礼音は本当はソールの柄じゃないっていうか、もう少し組の中で上級生としての

地位を確立してからやるべきですよね。

それに彼女のシナーマンは・・・すっきりしないというか「ここでいくかーー」と思ったら

下がる・・みたいな感じで見ているほうに達成感がないのね。

紅ゆずるは「歌が下手」って自覚しているのか、ひたすら叫べばいいと思ってる。

キザり方がワンパターンで感情が乏しい。特にブリーザを死なせてしまった後の

悲しみをひきずる姿が淡々としていました。

夢乃は見た目の問題もあるけど、かっこよくなりきれない印象。

白華は二人の間で揺れる恋心を感じず、男役二人を手玉にとって戦っている感じ

がして刺されても同情できませんでした。ダンス力がありすぎてくれないと夢乃が

振り回されているのもおかしくて

一人で熱い演技をするので、カリオカさん達も置いてきぼり?っていうか、回りが

もっと熱くないとダメよね。

涼紫央のルーア神父様は予想通りぴったりでした。

特に「シスターマーマ」と呼びかける時の高くて甘えた声 私はこの声が

昔から大好きで (「夢・シェイクスピア」とかーー「イーハトーブ夢」とかーー)

にっこり笑うと本当に癒されますね

真風涼帆のメール夫人は・・・怖かったです 彼女に成瀬こうきを求めても

しょうがないけど、ゆえに美弥るりかとのコンビはとても合っていたと思います。

夢咲ねねはとても可愛らしかったと思います。

 

ちょっと消化不良だった今回の「ノバ・ボサ・ノバ」やっぱりキリヤンで見たいと

思うのは私の贅沢?

 

 

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