ふぶきの部屋

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韓国史劇風小説「天皇の母」(59)(だってフィクション)

2012-07-04 16:06:02 | 小説「天皇の母1話ー100話

皇族には「内廷皇族」とそれ以外の皇族がいる。

天皇・皇后・皇太子・皇太子妃・ノリノミヤは内廷皇族の為、全てが国費で

賄われるが、アキシノノミヤ家・ヒタチのミヤ家・チチブノミヤ家・タカマツノミヤ家・

ミカサノミヤ家・タカマドノミヤ家ではそうではない。

年間、決まった額の報酬があり宮内庁より職員の貸し出し等はあるが、

基本は全て自費で賄わなくてはならない。

健康保険料は10割。御料牧場の牛乳も自費。宮邸で使われる光熱費等も

全て自費なら使用人の給料まで。

そう考えると、内廷皇族とそれ以外の皇族の間には厳密な壁がある。

それは「責任の重さ」というものだったかもしれない。

世継ぎを持っている天皇家・皇太子家は「公務」や「祭祀」の縛りが多いし

政府の要請で外国要人とも会わなければならないし、外国訪問もしなくては

ならない。

しかし、他の宮家は基本的に「義務」としてはない。

それゆえ、3親等以降の皇族は大学を出るとどこかに就職するのが普通

だったし、それに対して不満をもらす事もなかった。

所詮、宮家は血のスペアであるから、本当に必要になる時期というのは

限られている。

子供がいなかったり、未亡人になったり・・・というような宮家に関しては

血のスペアにすらならない。しかし、それぞれに明治以降から引き継いで

いる仕事があり、それを後世に伝えていくのが大事な役割だった。

 

アキシノノミヤ家の誕生は「宮家とはなにか」をあらためて

考えさせるきっかけになったと思われる。

それというのも、皇太子はいまだに独身。

さっさと見合いでも何でもして妃を決めるべきと誰もが思ったが

皇太子の心の中には「オワダマサコ」がしつこく居座り続けていて

だれも対処できずにいた。

6歳も年下の弟が、学生結婚してしまった。

相手は今時こんな女性がいるのか?という程よく出来た娘で

両親や妹うまくいっている。

アキシノノミヤは「キコちゃん」と結婚して株を上げたようで人気はうなぎのぼり。

それだけではない。

そもそもアキシノノミヤは動物学に興味があったものの、大学では法律を専攻。

大学院に入ってオックスフォードに留学し、初めて好きな学問に打ち込む

事が出来るようになった。

それからというもの。彼は水を得た魚のように次から次へと研究に手を出し

その為に外国へ行くこともしばしば・・・それは相手国王室との親密な

関係を築く上で非常に有益だった。

また、結婚し宮家を創設する事によって、民間からの「公務の依頼」も増えた。

多くは学問関係。それに妃の手話関係等、ライフワークに直結している。

そこから公務は枝葉のように分かれていくだろう。

しかし、振り返ってみると皇太子は、自分には好きな学問などない事に

気づいていた。

学習院で水運を学んだし、「テムズの・・」という本も出したし。

歴史に興味があるのも確かだったが、のめりこんでいく程の情熱があるかと

問われれば疑問だ。

それを「自分は東宮だから」と言い訳していた。

皇太子の役割は天皇の補佐。帝王学だ。だから専門的な学問をする

暇はない」と(父天皇がハゼの分類学に精通している事はこの際無視だ)

皇太子とただの弟では身分的に雲泥の差がある。

それが唯一の優越感に繋がっていたともいえる。

でも・・・・アキシノノミヤケの躍進は皇太子に焦りと悔しさがまじった

微妙な感情をおこさせた。

しかも、結婚からほどなくキコ妃は懐妊したのである。

もし、生まれてくる子が男子だったら、自分と弟についで皇位継承者になる。

そうなったら自分の存在意義はどうなるだろう。

自分などいなくたって天皇家は困らない。延々と続いていくのだ。

皇太子の心の中に宿った絶望感は果てしないほどに広がる気がした。

小さい頃、アヤノミヤがまだ生まれたばかりの時だった。

遠慮なく泣きわめき、おたあさまはそんな弟をいとしげに抱っこしてたっけ。

僕は何であんなに泣けるのかわからないと思った。

どうして弟だからって好き勝手に泣けるの?

僕は泣けなかったんだよ。色々我慢したんだよ。だって皇太子になるんだもの。

そして今、自分は結婚すら反対されているというのに、弟はさっさと結婚し

子供まで出来るという。

なぜそんな事が「彼」だけに許されるんだろうか。

 

皇太子だって一度はオワダマサコを諦めようと思った事もある。

何度か他の妃候補とも会おうとした事だってある。

でも、「お妃候補」になると、そうスクープされた女性たちはさっさと結婚を

決めて外れていったり、予期せぬスキャンダルに巻き込まれて外れていく。

週刊誌には毎日のように新たな「皇太子妃候補」の名前があがるが

本人達に会う前に話はなくなってしまうのだ。

天皇も皇后も出来れば民間から妃を・・・と思っていたらしいが、最後は

旧皇族・旧華族でも仕方ないと譲歩した。

その最たる相手がクニ家の令嬢。そう・・小さい頃から母をいじめていた

おばあさまの親族だ。

彼女は決して美人ではなかった。しかし賢かったし旧皇族出身であるから

皇室に対する嫌悪感がない。しかもしつけがきちんとされている

どこから見ても完璧な女性だった。

彼女の方も、見合いの話が来た時点である程度覚悟していたらしく

「私でよければ」と承諾してくれた。

しとやかで控えめで、それでいて芯が強そうな女性。

皇太子妃としてこれ以上ふさわしい女性はいないと誰もが思い

天皇も皇后も賛成の意を示した。

しかし・・・・・「僕は嫌です。じゃがいもみたいな顔なんだもの」と

皇太子は言い放った。

じ・・じゃがいもですって?東宮さん、本気でおっしゃってるの?」

皇后は顔色を変えた。今まで女性の容姿に関してあれこれ言った事など

なかった息子なのに。

一体これはどうしたことか。

だって本当にそうだから。顔は重要でしょう?それに旧皇族でおばあさまの

血筋なんて濃すぎませんか?」

「顔よりも資質でしょう?血筋は大事ですよ」

皇后の搾り出すような言葉に皇太子は言葉を失った。

クニ家の令嬢を選べば、皇后より皇太子妃の方が血筋的に上になる。

ただでさえ、「民間妃」と意地悪されてきた母なのに、自分の為にさらに

我慢するなんて耐えられない。

とにかくこの話はなかったことにして下さい」

家柄的に血筋的に、まさか皇太子の方がら断りを入れられると思って

いなかったクニ家の体面は丸つぶれになった。

なにせクニ家との縁談は、宮内庁を通してではあったが、天皇から直々の

「お願い」で実現したものだったからだ。

クニ家はもう皇族ではないし、天皇家と縁を結ぶなんて思ってもみなかったが

それでも皇太后の実家として皇室に尽くすべき事はつくさねばの思いで

縁談を受けたのに・・・・・どこから耳に入ったのか

「顔がじゃいも」発言もしっかりと伝わってしまった。

この事は天皇家と旧皇族にますます見えない溝を作るハメになった。

まだその事に気づいてはいないが。

 

クニ家の令嬢は、その後東大に入学。博士課程を修了し医学博士に。

いまだ独身であるけれど世界を飛び回って活躍したとか・・・・

 

 

コメント (8)
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