わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし
歌意: 私の袖は、引き潮の時にも海中に隠れて見えない沖の石のように、
人は知らないだろうが、涙に濡れて乾く間もない。
作者: 二条院讃岐(にじょういんさぬき)
1141?~1217? 源三位頼政(げんざんみ よりまさ)の娘。
初め二条天皇に、後に後鳥羽天皇の中宮、宜秋門院任子に仕える。
この歌は、「石に寄する恋」という、題詠の歌である。
恋ゆえの悲しみの涙で、袖が乾く間もない事を詠んでいるが、
和泉式部(五十六番)の「わが袖は水の下なる石なれや 人にしられでかわく間もなし」
(『和泉式部集』)
を、念頭に置いた本歌取りの歌である。
式部の「水の下なる石」を、「潮干に見えぬ沖の石」としたところに、新しい趣向がうかがえる。
作者は後に「沖の石の讃岐」と呼ばれたという。
※参考 文英堂 「原色小倉百人一首」
7月も今日でおしまい・・・月日が過ぎるのが、本当に早いです。
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