よし坊のあっちこっち

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デトロイト スリー(Detroit 3)

2008年12月07日 | ビジネス横丁こぼれ話
例のリーマンショック以来、金融危機回避の為の救済プランが議会を通ったものの、根幹産業自動車のビッグ3がこぞって救済融資を申し出、議会と綱引きをやっている。この記事が出る頃はどう決着がついているのか分からないが、ラジオを聴いていると色々な意見が聞けて興味深い。金融機関を救済するのだから一産業に過ぎない自動車を厚遇するのはお門違いとする意見(納得だが)、それは違う、金融機関の不祥事(みたいなもの)から危機的状況が他の産業にも波及したのだから、救済してもらってもいいはずだ、とする意見。しかし、それじゃ、他の産業はどうなるのかという話にもなる。

ラジオの或るパーソナリティがこんな話をしていた。
彼は、デトロイトのビッグ3を訪問した後、サウスカロライナのBMWとアラバマのホンダの工場を訪問した。そこで、痛感したのは、ビッグ3は一回倒産しなければ、再生はあり得ないと確信したそうだ。その最大のポイントは組合だと指摘している。

何か事があると、いちいち強力な組合を通しての話となるので、事がちっとも進まないのだ。デトロイトではすったもんだの話ばかりしている現場を彼は垣間見た。
ところが、BMWやホンダへ言ってみると、市場の危機を乗り越える為に生産ライン、生産品種をより効率的にする為にどんどん現場の変更を行っている。そして、先行き不透明のなかでも、作業員が活き活きと仕事をしている様を真近に見たという。

日頃、意思決定の早さに優れているアメリカでも、組合化された集団では全く話にならない現状が浮かび上がる。組合の保護の下に長年膨れ上がった賃金とベネフィット。因みに表面的な時給賃金は日系自動車よりチョッと高い程度らしいが、組合員として手厚く保護されているベネフィット類を加えると、平均で70ドル対45ドルだそうな。これを断ち切るにはChapter 11しか手は無いと見ている人が多いのは事実だ。
かつては確かに必要であった、大げさに言えば、生存権獲得の為の組合活動は、はるか昔にその役目を終えてしまった。組合の存在価値は下がる中で、伝統的組合を抱える産業の硬直化は否めない。新産業や新興勢力は組合を嫌って、開発途上地域である南部に活路を見出し、社会的インフラが整った現代では、組合化が意味を成さない、むしろ邪魔である事を証明してしまった。

今回のBail Out問題でメディアはかつてのビッグ3をDetroit 3と表現している。最早”ビッグ”はふさわしくないという事か。何とも象徴的な話である。