よし坊のあっちこっち

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日系企業 3つの落とし穴

2013年09月02日 | ビジネス横丁こぼれ話
米国進出の日系企業でよく見かける現象がある。落し穴と言い換えてもよい。幾つか有るが、とりわけ3つの現象には要注意だ。残念ながら、日本から派遣される代表者の大多数は日本での経営経験も浅いか、殆ど皆無に等しく、これに異国環境と言う特殊要因が加わるから落し穴に気が付かない。そして、ある日突然不祥事が吹き出て、右往左往する。その結果のワーストケースは、適切な問題処理が出来ず、“無能”のレッテルを貼られ日本召喚となることだろう。こんな目には遭いたくない。では、注意すべき典型的な3つの現象とは何か。

その1.従業員が思う通りに働かない(又は、そう感じる)。
多くの場合、トップからの明確な目標指針が示されないことから生ずる。日本では行間を読み、一を聞いて十を知る、式のやり方が通るから、手取り足取りで指示をしないと動かない社員は直ぐ“無能”と判断され易い。しかし、米国は逆で、手取り足取りの細かい指示が重要となる。嘗て、2004年のアテネオリンピックで米国バレーボール代表チームを率いた吉田敏明がこんな事を言っている。「米国の選手は、日本では(恥ずかしくて?)聞いて来ないような事も平気で聞いてくる。ここで、そんな事までわからないのか、と見下してはいけない。手とり足取り丁寧に教え、指示することです。納得したら猪突猛進。それからの成長は早い」。示唆に富むエピソードだ。
その2.従業員が勝手なことをしている。
明確なルール設定が無いと必ず起こる。日本で言えば規定類集、こちらのEmployee Handbook(EH)である。日本から派遣された人に共通するのは、EHに対しての注目度が低く、人事案件への関わり方も非常に薄い。HRマネジャーが米人なら殆ど丸投げに近くなり、一旦タガが緩んだらモラルが下がり始める。
その3.従業員の給与が高すぎる。
スタート当初から高いと言うのではない。会社も軌道に乗り、10年位経つと綻びが出てくる。気がついてみると従業員の給与が相場以上に高くなっている。最大の要因は、最低年一回の“適切”なパフォーマンスレビューをしていないことによる。“適切な”レビューとは、数値化出来るレビュー項目を細かく設定し、客観的レビューに努めることである。これを怠ると給与はドンドン上がる。

代表者交代はひとつの節目。新任代表者はこの3つに注目すべし。