よし坊のあっちこっち

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日系企業と縁故採用

2018年04月19日 | ビジネス横丁こぼれ話
縁故採用にもいろいろあるが、従業員の身内(親子兄弟姉妹や親戚)の雇用は慎重を要する。相当大きな組織で身内同士が接触しない人事配置が可能であればよいが、職種柄、同じグループに属したり、上司と部下の関係にならざるを得ない中小規模の組織では、”身内びいき”の問題が常について回り、そのために現場での不協和音などが起こり、マネジメントがギクシャクすることになる。

野呂利氏は、会社立ち上げで、まず生産現場のマネジャーを採用した。採用したビルは、軍隊の経験もある為か、指示もテキパキとしており、人柄も良く、仕事も熱心で、まずまずであった。次第に生産量が増え、一年も経たない内に増員する状況となり、現場のスーパーバイザーが必要となった。リクルーターに人材探しを頼んだが、中々適任者が見つからない。その様なタイミングに、ビルが「俺の息子がその仕事をこなせると思うのでどうか」と提案してきた。野呂利氏も、マネジャーの息子なら、問題ないだろう、と軽く考え、採用する事にした。そして、この考えは正しく軽率な考えであった。

ビルを信じて暫く様子を見ていたが、どうも、不肖の息子のようである。集中力に欠け、仕事に穴を開ける事も多く、その都度、親父であるビルがフォローしている有様だった。非情に徹して、解雇したい所だが、マネジャーの息子ともなると、躊躇してしまう。悶々とするうちに、数ヶ月経った頃、出来の悪い息子をめぐって現場の連中がザワつき始めた。野呂利氏も、そろそろ限界かと思っていたら、ビルが息子を辞めさせると言ってきた。部下達がビルから離れ始めた為、自分の地位が危なくなると感じ、手を打ったのである。これで一件落着すれば良かったが、結局ビルは周囲の信頼感を回復することが出来ず、又、それを放置した社長の野呂利氏にも風当たりがきつくなる、と言うダブルパンチになってしまった。その後、ビルは転職していった。会社としても漸く落ち着いた時期で、再びマネジャーとスーパーバイザーの二人を探す羽目になり、時間と余分な経費を使うと言う残念な結果に終わった。

日本人がアメリカで企業マネジメントを行う場合、最初から相当なハンディを負ってスタートすることになるので、縁故採用のようなトラブルの元は出来るだけ遠ざけておくのが望ましく、会社のPolicyとして設定しておけば、いざという時に右往左往しなくて済む。


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