よし坊のあっちこっち

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久しぶりに聞いた「権力は腐敗する」

2019年01月03日 | ビジネス横丁こぼれ話
カルロス・ゴーン逮捕のニュースに接して、久しぶりに聞いた言葉である。19世紀の歴史家にして政治家Lord Astonのあまりにも有名な格言「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」。

会社が危機に瀕した時、立て直し役が危機を乗り切り、更にその後の繁栄にも貢献すれば、やがて、その人物に「中興の祖」と言う称号がいつの間にか付与される。この「中興の祖」というのが、なかなか曲者で、会社を救ったヒーローだから、「ヨイショ」は増え、辛口の意見や文句などは影を潜めていく。こうなると、居心地は益々よく、長期政権化し、自ら作った厳しいルールや規律にもガードが下がっていく。ゴーンが私的休暇の費用を会社負担で賄っていたという報道がそれを物語っている。

かつて筆者が学校を卒業し選んだ会社の社長も中興の祖であった。筆者が入社する遥か以前の経営悪化で会社を立て直し、その後は矢継ぎ早に新規事業を拡大、業界に多くの話題を提供していた名物社長であった。社長在任期間は実に29年に及ぶ。その間、私的不正があったわけではないが、晩年、奥方(これも世間では有名でバラエティー番組にも出るほどの有名人であった)が経営に口を挟み出し、今で言う「不適切」或いは「不透明」な事業が出来てしまった。
会社の正式な事業ではなく、奥方の個人事業なのだが、これに会社の従業員が派遣され、筆者の同期も何人かいた。何しろヨーロッパでの畑違いのレストラン業だから、大変な仕事だったようだ。

このような「不適切、不透明」な局面に接したり、不正の片棒を担がされることになった時、辞めたいと思っても、日本では簡単には辞められない。再就職が難しい日本では自殺行為に他ならない。極限まで「黙って、見て見ぬふりをして」我慢する、というのが本音だろう。だから腐敗が蔓延ることになる。

アストン卿の言葉と共に筆者が肝に銘じてきた言葉にホンダの創業者二人、本田宗一郎と藤沢武夫の言葉がある。「社長も部長も課長も盲腸も包丁も、チョウが付くが、皆単なる符丁に過ぎない。偉い偉くないは関係無い」「肩書きは偉さのランキングではない。しかし、これを勘違いする者が出てくる。そういう意味では、社長というのは一番厄介な肩書きだ」。肝に銘ずべき至言である。


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