よし坊のあっちこっち

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Toshiba不正会計に見る日本的問題

2015年10月01日 | ビジネス横丁こぼれ話
今やグローバル市場でも認知度の高いTOSHIBAの不正会計が明るみに出て揺れている。マスコミでは”会計の不適切な処理”という曖昧な、柔らかい表現を使っているが、早い話が”粉飾決算”なのである。しかも、3代の社長に渡って粉飾の陣頭指揮を執ってきたと言うからあきれる。東芝と言えば思い出される二人の社長、石坂泰三と土光敏夫。この二人は東芝にあって格別な存在であり、その象徴であった。彼らの遺志を継いで築き上げてきた栄光の東芝は、今回の不祥事で一挙に”負の遺産”を背負い込んでしまった。

1970-80年代、筆者も営業の最前線にいた。売り上げ計画を策定すると、上から一割や二割増しの目標数値が示され、毎月それに向かって突進となる。計画通り事が運べばよいが、殆どが計画未達で、その都度上司から”お小言”を頂戴したものだ。営業の日常である。だが、お小言の度が過ぎて人事権をチラつかせた”命令”となれば只事ではなくなる。会社組織も上下社会で、常に下が弱者である。パワハラを武器に、すべて承知で下を不正行為に追い込んでいく。これでトップ主導の犯罪的行為集団がいとも簡単に出来上がってしまう。

それにしても社長3代に渡っての不正行為は”異常”の一語に尽きるが、もともとの日本全体の”甘い体質”が見え隠れする。その意味では、日本は先進国とは言い難く、中進国が相応しかろう。欧米から入ってくるコーポレート・ガバナンスとかコンプライアンスを模倣はするが、全く地についていない。昔から監査役制度はあるにはあるが、沈黙のお目付け役である。社外取締役制度も作るが、体裁を重視した名誉職的色合いが濃い。

およそ制度を改善し発展させていく大きな節目はスキャンダルが持ち上がった時である。今回の事件が”不適切会計処理”などと矮小化せず、思い切った改革を産業界全体が目指さねばならない所だが、その逆を目指しているから、中進国から脱出出来ない。

そこで思い起こされるのが、約15年前アメリカで起こったエンロン事件。トップのNo.2が主導し、No.1が黙認した不正取引が内部告発で発覚したこの事件は、その後のアメリカの会計倫理や企業の内部統制問題を大きく変えた。司直はトップ達をムショ送りにし、世界的会計事務所のアーサー・アンダーセンを解散に追い込んだ。不思議なもので、アメリカと言う国は、大きな問題が起こると、それを常に前向きに捉え、前進させようとする力がある。

アメリカのオリジナルを引き取って模倣以上の高品質製品を作る事に存在感を示してきた日本だが、こと制度やルールの面では模倣さえも出来ていない。何故だろうか・・・・・・


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