
鹿尾菜(ひじき)
【語源】

語源は明らかとは言えませんが、古名の「ヒズキモ」が転じて
「ヒジキ」になったと言われています。
漢字名の「鹿尾菜」は、形が鹿の黒くて短いしっぽに似ている事が
由来の様です。

ヒジキとひき肉の甘辛炒め

煮る前の生のヒジキ

【旬】

ヒジキの旬と言えば、迷うことなく春です。

しかし、この旬は、採れる量や解禁日など人間の決めたルールに
従った旬。

味だけで決めれば「冬」。それも、新芽が伸びて、まだ小枝や葉を
出していない「1本ヒジキ」、これが柔らかくてアクがない究極の
ヒジキだと言います。

しかし、冬は干潮が夜間ですから、この1本ヒジキを探し出すのが
至難の業。

解禁前という事もあり、自家消費用にごく少量採っているだけの様
です。もちろん、市場には流通しません。
よって、やはり旬は春とするのが無難なようです。

【うんちく】

ヒジキは褐藻綱ヒバマタ目ホンダワラ科ヒジキ属に分類されます。

暖海性の海藻で道南から九州にいたる太平洋岸、瀬戸内海、日本海
南部の磯に分布しています。

雌雄異体で、雌株の卵子に雄株の放出する精子が受精します。

繁殖行動は5~7月頃まで続き、受精卵はやがて岩などに付着して、
生長し始めます。

食用として採取されるのは3年ほどたったもの。

一方、繁殖行動を終えた雌雄株は夏には枯れてしまいます。

ところが、岩の上を這うように長く伸びた根は死なず、やがて
新しい芽を出します。

これを繰り返し、根は7~8年は生き続けます。

発芽体の生長は秋から冬の間はゆっくりですが、春になると急激に
早くなり、この頃が旬とされています。
【ブランド・産地】

ヒジキの解禁時期は各地異なりますが、主に3~4月の春です。

この頃、新物の生ヒジキも流通します。

干潮の時間帯に波しぶきを浴びながら、根を傷めないように根元近く
から刈り取ります。

漁獲量は、長崎、千葉、三重、和歌山の順。

国産品はすべて天然物ですが、消費量の約1割に過ぎません。

後のは韓国、中国の増養殖物の様です。

増養殖と言っても海藻などの場合は、エサを与えるわけではないので、
天然となんら変わりはありません。
ブランド化・・・とまでは行きませんが、三重の「伊勢ヒジキ」は
有名です。また、宮城産の物は「ふくろひじき」と呼ばれ、柔らかく
上質であると言われています。

ヒジキの煮物
【産地ならではの漁師料理】

ヒジキと言えば、煮物でしょう~。

甘辛く煮付けたものは「お袋の味」・・・・と、言えるのでは?
あとは、かき揚げや、ヒジキご飯にしても美味しいです。

漁師料理や郷土料理として、適切なものは見当たりませんが、
それだけ馴染みの深い、全国で、いつの季節も食卓に上がる食材と
言えるのではないでしょうか。

ヒジキのかき揚げ
【余談】

ヒジキは海から採ったままの状態では渋く、また、、硬くて食べら
れません。長時間茹でて(10時間ほど)、数日間干した乾燥ヒジキが
主に流通しています。
生ヒジキとして流通しているものは、乾燥ヒジキを水戻した「生」で
、季節を問わず、簡便商品として出回っています。

採取して茹でただけで乾燥させていないものは、釜揚げヒジキとか、
新物生ヒジキと表示していることが多いです。

これはもちろん3~5月頃の春季限定品で日保ちはしませんが、風味と
食感は格別です。

ヒジキの酢の物
【栄養と効果・健康】

キノコなみの低エネルギー食材です。

食物繊維が非常に多く、採り過ぎた塩分・糖分・脂肪分などを、体外
に排出してくれます。糖尿病や高脂血症を予防する食材です。
また、血圧を下げるカリウムも豊富で、カルシウム、鉄分も多く
含んでいますので、貧血気味の方にもお勧め。

ただ、ヒジキの鉄分は、体内吸収されにくいので、吸収を助ける、
ビタミンCの豊富な食材と同時に食す事をお勧めします。
ビタミンでは、体内でビタミンAとして働く、カロチンの他、なか
なか摂取の難しいビタミンKが多いです。
生活習慣病に悩む現在人にとっては、救世主の様な食材ですよ~

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