ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

玉川上水、春のミステリードラマ

2015年05月19日 | 日記

        

 前回のブログで玉川上水に自生する花、キンランについて触れました。今回はこの花にかかわる小さなミステリードラマです。

 先ず、キンランの花とは。……4~6月咲く花。花の色は黄色と白色。白はギンランという。ハデさはなく古風な日本女性の趣の美しさ。株の高さは30~70センチ。野山に自生するが固有の土壌が必要で栽培は難しい。最近は数が減り絶滅危惧種に指定されている。

 では、このドラマのあらすじ。

・5月6日。玉川上水を訪れ、かなりの数の株を確認する。だがまだツボミ。

・5月10日。少々期待をもって訪れる。ところが花どころかツボミが殆ど消えていた。キンランは以前、根ごと掘り出される盗難が問題となっていた。今回は株ごとなくなっているのではなく、ツボミが消えている。

・消えた原因を推測する。

①6~10日の五日間に開花し、そして花の命を終え落下して土色に変色した。

②風や雨などで飛ばされた。

③なんらかの目的で人間の手により取り去られた。

④この辺は土鳩が生息する。彼らが食べてしまった。

・5月15日。また現地を訪れた。

 この時期にキンラン、ギンランのない玉川上水は寂しいというか不思議な世界だ。ここを散策する人達もキンランを楽しみにしているだろうに。どう考えても①~④の原因はありえない。

 見上げるとエゴノキの白い花が満開。このエゴノキがことの次第を目撃しているのだ。彼らに問うても、ただ甘く刺激的な匂いを発散しているだけだ。この匂い、いつもは春の香りとして心地よいものだが、今年は悪女の退廃的な匂いに感じてしまう。

 今年の玉川上水の春は、僕にとってミステリードラマの舞台になってしまった。

      *絵はドラマ出演者のキンラン、ギンラン、エゴノキの花。

                       5月16日  岩下賢治

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする