前回のブログで玉川上水に自生する花、キンランについて触れました。今回はこの花にかかわる小さなミステリードラマです。
先ず、キンランの花とは。……4~6月咲く花。花の色は黄色と白色。白はギンランという。ハデさはなく古風な日本女性の趣の美しさ。株の高さは30~70センチ。野山に自生するが固有の土壌が必要で栽培は難しい。最近は数が減り絶滅危惧種に指定されている。
では、このドラマのあらすじ。
・5月6日。玉川上水を訪れ、かなりの数の株を確認する。だがまだツボミ。
・5月10日。少々期待をもって訪れる。ところが花どころかツボミが殆ど消えていた。キンランは以前、根ごと掘り出される盗難が問題となっていた。今回は株ごとなくなっているのではなく、ツボミが消えている。
・消えた原因を推測する。
①6~10日の五日間に開花し、そして花の命を終え落下して土色に変色した。
②風や雨などで飛ばされた。
③なんらかの目的で人間の手により取り去られた。
④この辺は土鳩が生息する。彼らが食べてしまった。
・5月15日。また現地を訪れた。
この時期にキンラン、ギンランのない玉川上水は寂しいというか不思議な世界だ。ここを散策する人達もキンランを楽しみにしているだろうに。どう考えても①~④の原因はありえない。
見上げるとエゴノキの白い花が満開。このエゴノキがことの次第を目撃しているのだ。彼らに問うても、ただ甘く刺激的な匂いを発散しているだけだ。この匂い、いつもは春の香りとして心地よいものだが、今年は悪女の退廃的な匂いに感じてしまう。
今年の玉川上水の春は、僕にとってミステリードラマの舞台になってしまった。
*絵はドラマ出演者のキンラン、ギンラン、エゴノキの花。
5月16日 岩下賢治