ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

この夏の読書(続き)

2018年10月15日 | 日記

 7月10日付けのブログ、「暑さを忘れる夏の読書」、の続きになります。

 7月初めから読み始めたアンドレ・ジッドの、la porte etroite (狭き門)を先日ようやく読み終わりました。高校生の頃から、翻訳で数回、2年前原文で一度読んでいますが、今回、作品をより深く味わおうとして予定より時間がかかりました。前にも書きましたが、昔から世界の文化を理解したいという思いがあり、その方法の一つに言葉の理解が必要ということで、8カ国をかじってきました。今回の読書も、フランス文化の勉強の一環という位置づけになります。La porte etroite のフランス語はかなり凝っていて、理解を助けるため、1923年に出版された山内義雄の翻訳で内容を確認していきました。当時、名訳とされジッドが日本に広まったそうです。また、英語国民はどう読んでいるかを知ろうと、1924年年に出版された、ジッドの友人でもある、英国人の Dorothy Bussy の英訳 strait is the gateを 参考にしました。結局、一つの作品・文化を、仏、日、英、の目から見ようとしたことになります。

 そして今思うことは?

①    言葉とその文化は対になっていて不可分。La porte etroit はフランス語により完全に成り立つ。山内義雄の、「狭き門」、は、氏本人による独立した作品。また、英訳では、フランス文化の香りがあまりしない。

②    言葉はその国の大切な文化。日本では、いま、小学校で英語教育が始まろうとしているが、まずは日本語をきちんと学ぶことが第一。英語を教える目的、方法をしっかりさせなければならない。

③    少し飛躍するが、どこの国の誰でも、自分の国の文化を大切にするのは当然のこと。グローバル化が進むとそれに比例するかのように、自国の文化を大切にしようという気持ちが強くなるだろう。グローバル化にあって、欧米の先進、成熟国で保護主義が強まるのはある程度は自然なこと。

  絵は、アリサの顔。前回の描き直し。参考にした小説のなかの文章で、releves 、という単語。山内氏の、離れた、という訳語を誤解して描いてしまった。平面から離れた、つまり、ほりの深い、という意味になる。 

       2018年10月14日  岩下賢治

 

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