この10連休。海外旅行に出かけた人も多かったようだ。
僕もドイツへの旅に出た。だが、帰国は何時になるかわからない。・・・・つまり、ドイツの文豪ゲーテの「若きウェルテルの悩み」Die leiden des jungen Werher 、をドイツ語の原典で読み始めたの、ということです。
ゲーテ自身の実体験を基にした私小説、また、心理小説だが、かなり難しい文章。じっくり読むと何時読み終わるか予想できない。外国の文学書などを原書で読むのは、まさにその国を旅行するかのような経験になると思う。より深くその文化に入り込める。
何故、「若きウェルテルの悩み」なのか。翻訳は高校生のころから幾度かよんでいるが、内容がキビシク愛読書にはならなかった。だが、ゲーテの代表作であり、1774年発表当時ヨーロッパで大評判となり、多くの自殺事件が起きたという。ふだん読書をしないナポレオンもフランス語版を戦場に持ち込み、愛読したという。日本では明治時代に紹介された後、実に多くの文学者達が翻訳発表している(20をこえるほど)。あくまでも想像だが、詩的、で、格調高いドイツ語が、彼らに自分自身の日本語で翻訳表現したい、と思わせたのではないだろうか。
ゲーテ自身「・・・自分の胸の血で養った作品だ、あの中には、私の心の内面のものがたくさん盛られている。・・・私は、生き、愛し、悩んだ。・・・」と強く語る。
ということで、ドイツ語を少し学んだ自分としては、いつか読もうと思っていた。読み始めて10日あまり、18世紀のドイツの雰囲気、難しくも美しいドイツ語にも少し慣れてきた。コツコツとだがこの旅を進んでいけそうだ。帰国する時には、胸いっぱいのお土産を抱いていたい。
絵は、主人公(ゲーテ)が最初の赴任地、ライン地方の村で、美しい風景と人情に触れ、スケッチを楽しんでいるところ。小説の最初の部分。
2019年5月9日 岩下賢治