登山道には珍しい草や木が生えていて、目を楽しませてくれた。
その代表的なものがイタドリ、今を盛りに花を咲かせている。同じような白い花をつけているのが、リョウブ。そして、花後のシャクナゲが道の両側を覆うように群生していて、満開だった初夏を追想させる。絵はイタドリです。
大型の台風10号が過ぎた日、福島県二本松市の安達太良山に登った。
まだ台風の余波が残り、一時は、ガスが立ち込めたり、晴れたと思ったら、強風に煽られるやら、また予定していたロープウェイが運行中止になったりと、簡単な登山ではなかった。が、山の良さは登ったという達成感もさることながら、眼前に広がる風景を楽しむことができるという点。この安達太良山は高さは1700mとそれほど高くないのだが、それが幸いしているのか、眼下に広がる深い緑の重畳する光景は、なんとも言い難い、感動的な景色であった。
安達太良山といえば、高村光太郎を思い出す。
智恵子抄の有名な一節。
あれが阿多多羅山、
あの光るのが、阿武隈川。
ここはあなたの生まれたふるさと、
あの小さな白壁の点々があなたのうちの酒蔵。
それでは足をのびのびと投げ出して、
このがらんと晴れ渡った北国の木の香に満ちた
空気を吸おう
二本松には優れた蔵元がある。
わたしは、お土産にと、大七と奥の松を持ち帰った。【彬】