ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

SNSの恩恵

2021年05月20日 | 日記

                                   カタバミ

 
 早野龍五さんは世界的な物理学者である。最近、「科学的は武器になる」を上梓し、好評である。その早野さん、ツイッター上で、コロナ問題に関する感染状況を、自治体や世界各地の政府や研究機関が発表している各種データを収集し、独自に分析、図表として公表している。専門家や識者という人たちが得意そうに自説を展開しているが、早野さんは感染対策をどうこうすべきかなど、一切コメントはなし。
 発症者数、検査数、重傷者数、年代別陽性者数、死亡者数、実効再生産数、1週間移動数平均、東京や大阪を基準とした各国各地の増減状況のほか収集できそうなデータを網羅、そしてそれぞれを対数化して表している。
 私はこうしたデータの読みには不慣れで、それらを読み切れないが、1週間の移動平均、実効再生産数を参考にし、日本の感染状況に一喜一憂している。
 マスメディアやSNS上では、コロナ問題の専門家という人や、タレント、識者などの論評をたくさん読んだり見たりすることができるが、私はそれらの言説にほとんど説得されない。ただし早野さんのデータだけを睨めっこしている姿勢には、ただただ頭が下がる。専門の物理学の分野でどう貢献できるのか、これが早野さん一流の科学者姿勢なのかもしれない。
 データというのはそれ自身で絶対的なものではない。データの取り方で結果は変化するからである。ただしデータが尊重されるのは、その収集根拠を徹底的に批判し、追検査できるからである。それが科学の信頼性をもたらしている。
 早野さんの物理学者としての姿勢は福島原発事故に対しても同じである。ひたすら放射能を計測し、医学者と協力して、人体にはその影響はないことを証明、現地の高校生や主婦と交流を続けている。放射能がやってくるとか、鼻血がでたなどという流言とは雲泥の差である。そしてその活動は糸井重里との共著「知ろうとすること」(新潮文庫)となって出版されている。
 現在のコロナ問題、行政などへは誰でもが言うべきことはたくさんあるだろう。それを自由に発言することは、民主主義の根幹であり、恩恵であって大歓迎である。早野さんのツイッターもその一つにすぎないが、以前のように新聞やテレビ、雑誌といったマスメディアに依存することなく、現在を知ることができるのは、SNSの恩恵だ。時によからぬ偽情報があっという間に拡散することあるが、それも含め、私はSNSがもたらした新しい時代の情報文化を好意的に受け止めている。とはいえ、オールド世代にとっては、あまりにも多いSNS情報には追いつけるものではないのだが。【彬】

 

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