ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

官僚の先走り

2023年03月16日 | 日記

           大粒の、あまおう

 放送法の解釈をめぐる行政文書に関して総務省が揺れている。大臣へのレクチャーがあったのかなかったのか、文書は偽造だったのかなど国会・マスコミを賑やかしているが、問題は、官僚の先走りによる文書作成だったのではないかと思う。
 昔、短い期間だったが、新聞記者まがいの仕事をしていたことがあって、農林省を何度か訪ねたことがあった。そこでの見聞だが、課長は滅多に着席していることがなく、帰ってくるとあれこれ指示を出す。そんな中で、へーっ!と思ったことがある。次期予算が議会で可決される前にもかかわらず、予算の執行を指示する。農村振興対策に関わる既存の法律の一環からだろうか、と思う。また、逆に予算の執行を遅らせることもある。年度末ギリギリまで伸ばす。あるいは早々に執行し、対象機関の金融を助ける。いわゆる行政上の差配をおこなっているのを目にしたのである。官僚がそんなことをして良いものなのか、などと思ったものである。
 おそらく課長の一存ではなく、背後には有力な政治家の意向があり、それを汲んでのことだろう。でも執行するのは課長であり、官僚である。有能かつ有力な官僚というのは、そのように動くらしい。
 東大法学部ー大蔵省ー政治家、というのがエリートコースである。行政を知悉することが政治家として大成する条件となっていて、今でも官僚から政治家になる人が多い。そのためか、行政を執行する官僚が、議会を差し置いて先走る傾向があるように思う。その方が物事が円滑に進むのだろう。
 残念ながらこれは、議院内閣制の欠点でもあろうか。大統領制だとこういうことにはならないが、しかしこちらは、行政が一方的に突き進む傾向がある。議会の制御が抑制されるのである。
 当時、総務大臣だった高市さんをめぐる放送法の解釈問題は、先走る官僚システムの難点を露出させているように思える。【彬】

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