キンモクセイ
イスラエルとハマスの闘い、他人事ではないがどう解決するのか。いったい何がどう問題なのか、我々には本当のところはわからない。分からなさは中東独特の地政学、文明や宗教の由来、生活習慣などが私たちとは異質だからでもある。
いつくか、論点をあげてみる。
1 民族の特異性=国家に包摂されていない砂漠の民ベドウィンやクルドなどを内包していること。
2 西欧文明の植民地主義に陵辱されてきた歴史があること。中東やアフリカ諸国は第二次戦後、列強から国境を勝手に線引きされた国家になっていること。
3 キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地があり宗教が錯綜していること。
4 流浪の民、ユダヤ人がパレスチナの地にイスラエルという国家を分け与えられたこと。
5 地下資源の宝庫で、世界の列強が利権を求めて手を伸ばし、武器援助や後方支援を繰り返していること。
6 エジプト、メソコタミアなど太古は文明の発祥地だったが森林を取り尽くし不毛の地に変わってしまったこと。
7 ヨーロッパとアジアを結ぶ結節点であること。スエズ運河あり。
など。
池内惠さんら、中東を専門とする学者たちも戸惑っているようだ。
素人の私たちが言うべきことは何もないが、日本でも歴史問題に踏みこむと議論が混沌としてくる。例えば、対中国、朝鮮半島などでも難しい。対外だけでなく国内に限っても同様で、南北朝や鎌倉期の動向など、複雑なことが絡み過ぎている。
そんなことからか、内藤湖南という人は、日本のことを考えるのに、室町以前は捨象していいと言っている。日本史には断層があるというのである。このことは太平洋戦争でも同じで、私たちの現在は戦前と切断して考えていいのだろう。そのようにして私たちは戦後民主主義の中で、全てを学んできたのである。
イスラエルと中東の問題は、歴史的にどこで区切っていいものか、当該の国民も世界の人々もよく分からないのだろう。第二次世界大戦の中での興亡、民族の独立、国際連合、そのような歴史と繋がってこない地域なのである。【彬】